産業廃棄物収集運搬業の許可|要件と申請の流れを解説

産業廃棄物収集運搬業は、事業で出た産業廃棄物を他人に代わって運ぶために必要な許可です。家庭ごみと違い、産業廃棄物は法定6種と政令14種の計20種類に区分され、排出した事業者が最終処分まで責任を負います。だからこそ、運ぶ側にも委託契約とマニフェストで流れを見える化する役割が求められるのです。 許可は都道府県知事や政令市長が出し、積替え・保管を含むかどうか、さらに県をまたぐかどうかで必要な許可が変わります。神奈川県では横浜市・川崎市・横須賀市・相模原市が政令市として独自に許可を出しているため、エリア確認を曖昧にすると手続きが止まりやすいです。現場では、ここを先に整理しておくと申請の手戻りが減ります。 許可を取るには、JWセンターの講習修了、経理的基礎、欠格条項に当てはまらないこと、飛散流出を防げる運搬施設の4つが必要です。新規・収集運搬課程の講習は約12時間(2日間)で、オンライン受講料は25,300円、対面は29,700円(税込・2026年4月時点)。申請手数料は全国一律81,000円、標準処理期間は60日、有効期間は5年、優良認定なら7年なので、計画は2〜4か月単位で見ておくのが現実的です。

この記事でわかること

  • 産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な理由
  • 産業廃棄物と一般廃棄物の違い
  • 許可区分と、県をまたぐ運搬で注意すべき点
  • 許可要件4つと講習・申請にかかる費用と期間
目次

産業廃棄物収集運搬業とは|まず押さえる基本

産業廃棄物収集運搬業は、他人の産業廃棄物を運ぶために必要な許可制度です。単に「ゴミを回収する仕事」ではなく、廃棄物処理法の枠組みの中で、排出から最終処分までをつなぐ役割を担います。 産業廃棄物は家庭ごみと法律上きちんと分けられており、ここを混同すると委託先の選定や契約内容を誤りやすくなります。まずは「何を運べるか」「どこまで責任を持つか」を押さえると、業者選びの軸がぶれません。

産業廃棄物の20品目と一般廃棄物との違い

産業廃棄物は、法定6種と政令14種を合わせた20品目で整理されます。たとえば、建設現場のがれき類、製造工程で出る汚泥や廃油、事務所から出る紙くずでも業種や発生状況によって扱いが変わります。ここを丁寧に見ておかないと、見た目は似ていても一般廃棄物として扱えないものを誤って混ぜることになり、受け入れ先や運搬契約にズレが出ます。20品目という枠は、現場で迷わないための実務上の地図だと考えるとわかりやすいでしょう。

一般廃棄物は家庭から出るごみが中心で、産業廃棄物とは法律上の入口が違います。たとえば同じ木くずでも、家庭の片付けで出たものと事業活動で出たものでは扱いが分かれることがあり、ここを曖昧にすると委託先が適法に運べなくなります。実務では「この荷物は何由来か」を先に確認するだけで、見積もりの精度も契約の透明性も上がります。

排出事業者責任と委託の原則

廃棄物を出した事業者が、最終処分まで責任を負うのが排出事業者責任の原則です。収集運搬業者に任せた時点で責任が消えるわけではなく、委託契約とマニフェスト運用で、どの業者がどの工程を担ったかをはっきり残す必要があります。責任の流れが見えるからこそ、途中で不適正処理が起きても追跡しやすくなるのです。

この仕組みがあると、依頼する側にとっても安心材料になります。無許可業者に流してしまうと、処理の途中で行方が追えず、依頼者側も委託基準違反として問われるおそれが出ます。だからこそ、許可番号の確認、対象品目の一致、運搬エリアの照合、マニフェスト対応の4点をそろえて見ておくと、契約の土台がぐっと固まります。

マニフェストは「誰が、いつ、どこまで運んだか」を残すための実務上の記録です。運搬終了後10日以内のB2票返送と、5年間の保管義務までつながっているため、記録の扱いが雑な業者は避けたほうがよいでしょう。

収集運搬業と処分業の役割分担

収集運搬業は「集めて運ぶ」、処分業は「受け入れて処理する」という分担です。現場ではこの切り分けが曖昧に見えがちですが、実際には役割が違うからこそ、許可も責任範囲も別になっています。運搬業者が勝手に最終処分まで肩代わりする構図ではなく、工程ごとに許可を持つ事業者が連なっているイメージです。

県をまたぐ運搬では、積込地と荷下ろし地の両方の許可が必要になります。さらに、積替え・保管を含むかどうかで許可区分も変わるため、同じ「運べます」という言葉でも実際の可否はかなり違います。私はこの部分を軽く見て契約がずれた現場を何度も見てきましたが、先に許可の範囲をそろえておくだけで、後日の追加説明や手戻りを避けやすくなります。

許可が必要なケースと不要なケース

産業廃棄物収集運搬業は、「誰の産廃を運ぶか」と「どこまで扱うか」で許可の要否と区分が決まります。他人の産業廃棄物を仕事として運ぶなら許可が必要で、自社の産廃を自社で運ぶだけなら原則として不要です。さらに、積替え・保管をするかどうか、そして申請先が都道府県か政令市かでも手続きが分かれるため、ここを外すと無許可営業や申請ミスに直結します。

他人の産廃を運ぶなら許可必須

他人の産業廃棄物を運ぶ行為は、排出事業者から処理責任の一部を引き受ける仕事です。だからこそ、単なる運搬ではなく、委託契約やマニフェストで流れを見える化する前提になっています。たとえば、取引先の現場から解体材や梱包材を回収して処分場へ運ぶなら、運ぶ量が少なくても許可なしでは済みません。反対に、自社の事業所から出た産廃を自社の車両で自分で運ぶだけなら、ここでいう「他人の産廃」には当たらないため、原則として許可は不要です。

この線引きが分かりにくいのは、実務では「回収代行」「まとめて持ち帰り」「ついでに運ぶ」といった形で、他人の廃棄物に触れる場面が増えるからです。読者にとっての利点は、営業の自由度を誤解しないことにあります。許可が要る案件を先に把握しておけば、見積もりの段階で対応可否を切り分けられ、無許可営業の重い罰則を避けやすくなります。現場でよくあるのは、一般廃棄物と産業廃棄物を同じ感覚で扱ってしまうケースですが、この2つは法律上まったく別物です。

積替え・保管の有無で変わる許可区分

産業廃棄物収集運搬業の許可は、積替え・保管を含まない形と、積替え・保管を含む形で区分が分かれます。単純に集めてそのまま運ぶだけなら前者ですが、いったん中継地点に置く、荷を分ける、保管しながら次の搬出を待つといった運用を入れると、より厳しい許可の考え方になります。県をまたぐ運搬では、積込地と荷下ろし地の両方で許可が関わるため、1枚の許可証だけで全国を回れるわけではありません。

この違いは、物流の組み方そのものに影響します。たとえば回収拠点を持つ事業者は、荷さばきのしやすさが増す代わりに、許可区分を誤ると運用全体が止まります。逆に、積替え・保管を入れない設計なら、必要な手続きが比較的整理しやすく、初めて産廃収運に入る事業者でも計画を立てやすいでしょう。判断の軸は「自社の倉庫や車庫に一時的に置くか」ではなく、許可の対象になる積替え・保管を業として行うかどうかです。

許可区分は、単なる書類の種類分けではありません。どこで荷を受け、どこで次に渡すかという業務設計そのものを問われます。

都道府県知事と政令市長のどちらに申請するか

申請先は、運搬する地域を所管する都道府県知事か政令市長です。つまり、許可は全国一律の1枚ではなく、自治体単位で管理されます。神奈川県では横浜市・川崎市・横須賀市・相模原市が政令市として独自に許可を発出しているため、同じ県内でも窓口が分かれる点が実務上の落とし穴になります。

この仕組みを押さえると、案件の受け方がかなり明確になります。県境をまたぐ運搬や、政令市内の排出事業者を相手にする仕事では、どの自治体の許可が必要かを先に整理しないと、営業できる範囲を取り違えます。読者にとっては、営業エリアをそのまま許可の範囲に読み替えないことが大切です。営業先が増えるほど便利になる反面、申請先も増えるため、都道府県と政令市の切り分けを最初に決めておくと、後の更新や追加申請がぶれにくくなります。

許可の4つの要件|講習・経理・欠格・施設

許可の可否は、講習修了・経理的基礎・欠格条項・施設要件の4点をそろえて見ます。どれか1つでも抜けると申請が止まるため、自社の体制を分解して確認するのが近道です。特に、現場の運搬体制と書類上の経営状態は見落とされやすく、先に押さえておくほど手戻りが減ります。

JWセンター講習会の修了

新規で収集運搬の許可を取るなら、『JWセンター』の講習会修了が出発点です。講習は約12時間、2日間で組まれており、制度の考え方だけでなく、実務で事故や違反を避けるための基本が詰まっています。受講料はオンライン25,300円、対面29,700円(税込・2026年4月時点)で、費用差よりも「社内で受講しやすい形を選べるか」が判断材料になります。現場を回しながらでも学びを入れやすいので、許可取得を急ぐ会社ほど、最初に予定へ組み込んでおきたい工程です。

講習修了が求められるのは、収集運搬が単なる運転業務ではなく、法令順守と安全管理を前提にした仕事だからです。『飛散』『流出』『混載』のようなトラブルは、知識不足のまま現場に入ると起こりやすく、後からの修正では済みません。修了証があると、申請の入口をクリアするだけでなく、社内で「誰が責任を持って運ぶのか」をはっきりさせやすい点も実務上の利点です。私は、書類の整合性を先に作るより、受講と担当者の固定を同時に進めるやり方をおすすめします。

講習は形式的な通過儀礼ではなく、運搬の安全設計を言語化する場です。修了者が社内にいるだけで、車両の使い方や容器の選び方まで話が通りやすくなります。

経理的基礎と欠格条項の確認

経理的基礎では、債務超過でないことが大きな目安になります。許可業は「今ある仕事を回せるか」だけでなく、「継続して適法に事業を続けられるか」を見られるため、赤字の有無よりも、資産と負債のバランス、資金繰り、帳簿の整い方が問われます。たとえば、現場車両を増やした直後でも、資金の見通しと決算書が整理されていれば説明しやすいですし、逆に売上が立っていても負債が重いと許可判断で不安材料になります。経営の体力を見せることが、そのまま許可の通りやすさに直結します。

欠格条項は、暴力団員でないこと、破産者で復権を得ない者に当たらないこと、刑罰歴などで除外される事情がないことを確認する段階です。ここは感覚で済ませる部分ではなく、申請者本人だけでなく役員や関係者にも目を配る必要があります。事業の中身が正しくても、人的な条件でつまずけば許可は前に進みません。だからこそ、経理の健全性と人的な適格性を並べて確認しておくと、後からの差し戻しを避けやすいのです。

運搬車両・容器など施設要件

施設要件では、飛散防止の運搬車と容器をどうそろえるかが核心になります。許可の対象は「運べること」ではなく、「運ぶ途中で周囲を汚さず、漏らさず、落とさないこと」まで含んでいるからです。荷台がむき出しだったり、容器の密閉性が弱かったりすると、見た目は運搬できても要件を満たしません。実務では、荷物の種類に合わせて車両と容器を分けて考える会社ほど、現場での扱いが安定します。飛散防止ができる構成を先に作っておくと、申請後の運用もぶれにくいです。

施設要件は、書類上の話ではなく現場の事故防止そのものです。たとえば、袋が破れやすい荷物をそのまま積めば、搬送中の揺れで破損しやすくなりますし、容器のふたが甘ければ、細かな粉じんや液状のものが外に出るおそれがあります。私なら、車両・容器・積み方を一つのセットとして見ます。申請のための設備ではなく、日々の仕事を安全に回すための基盤だからです。ここが整っている会社は、現場の段取りまで一緒に整っていることが多いでしょう。

申請の流れ|講習受講から許可証交付まで

講習会の受講から許可証が手元に届くまでの流れは、「講習を受ける → 書類をそろえる → 窓口へ出す → 審査と補正に対応する → 許可証を受け取る」の順で進みます。初めての方は手続きそのものより、書類の抜けや記入漏れで時間が延びる点につまずきやすいので、標準処理期間の60日を軸に逆算して動くと見通しが立ちます。新規申請の手数料は81,000円で全国一律、許可の有効期間は5年です。優良認定なら7年になるため、更新時期まで含めて流れを押さえておくと安心です。

ステップ1〜3:講習受講と書類準備

最初の山場は、講習会で制度の全体像をつかみ、その内容を踏まえて申請書類を組み立てるところです。ここを先に固めると、後で窓口に出したあとに「考え方が違う」「添付が足りない」と戻されにくくなります。現場で見る限り、申請の遅れは能力不足ではなく、最初の整理不足で起きることが多いのです。

講習会受講では、許可を取るために何を求められるかを具体的に確認します。単に話を聞くだけでなく、申請書にどう反映させるかまで意識すると、書類準備の精度が上がります。たとえば、事業の体制や管理方法を説明する場面で、あとから整合しない記載をすると審査で止まりやすいので、講習中にメモを取り、提出書類の項目と照らし合わせておくと無駄がありません。

申請書類準備では、講習で得た情報をもとに、必要書類を一つずつそろえていきます。ここで大切なのは「あとで足せばいい」と考えないことです。窓口で不備を指摘されると、そのぶん審査開始が後ろ倒しになります。新規申請手数料が81,000円かかる以上、再提出の手間を減らして一度で形に近づけるほうが、読者にとっても負担が少ないはずです。

講習内容を聞いた直後に、提出書類の一覧へ「記入済み」「確認中」「未着手」を付けると、抜けが目に見えて減ります。頭の中だけで管理するより、紙でも画面でも並べてしまうほうが早いです。

ステップ4〜5:申請窓口への提出と補正対応

窓口へ申請した後は、審査に入るまでの段階で補正の連絡が入ることがあります。ここで焦らず、指摘された箇所を素直に直して返すことが、全体の流れを止めないいちばんの近道です。書類は「出したら終わり」ではなく、「受理されてから審査が動く」という感覚で捉えると分かりやすいでしょう。

提出時は、記入内容の一貫性が見られます。講習で学んだ内容と申請書の記載がずれていると、補正が必要になりますし、場合によっては標準処理期間の60日を超えてしまいます。書類不備があれば延長されるため、最初の提出でどれだけ整っているかが、交付時期を左右します。読者の立場では、窓口に行く前の1回の確認が、あとで何度も通う手間を減らす価値になります。

補正対応では、指摘された箇所だけでなく、関連する記載もまとめて見直すのが実務的です。たとえば住所表記、名称、日付、添付資料の整合をそろえるだけでも、再度の差し戻しを避けやすくなります。審査は、細かな修正の積み重ねで前へ進むものだと考えると、窓口対応への不安は少し軽くなるはずです。丁寧に応じれば、手続きは着実に先へ進みます。

ステップ6:許可証交付と更新スケジュール

審査を通過すると、許可証が交付されます。ここまで来ればひと区切りですが、実務上は「もらって終わり」ではありません。許可の有効期間は5年なので、交付日を起点に更新時期を管理しておくことが次の手続きの漏れを防ぎます。優良認定で7年になる場合もあるため、自社の区分を把握しておくと更新計画が立てやすいです。

交付後に大事なのは、許可証そのものを保管することより、更新のタイミングを見落とさない体制を作ることです。現場では、交付時の安心感で予定管理が抜け、数年後に慌てるケースを見かけます。許可の期限は固定されているので、年度末や繁忙期に重なる前に、手続きの流れをカレンダーへ落としておくと動きやすいでしょう。更新を見込んだ管理まで含めて、ようやく申請フローは完成します。

費用と期間の目安|トータルでいくらかかるか

許可取得にかかる費用は、まず自分で申請するか、行政書士に依頼するかで見え方が変わります。最低ラインは講習費約3万円と申請手数料81,000円で、合計すると約11万円前後です。そこに行政書士報酬10万〜20万円が乗ると、トータルは一気に上がります。

期間も見落としにくい論点です。申請準備から許可取得までは通常2〜4か月が目安なので、開業時期が決まっているなら、費用だけでなく時間の余裕も事業計画に入れておく必要があります。自治体ごとの運用差が出る場面では、書類の差し戻しがそのまま日程に響きます。

自分で申請した場合と専門家依頼の費用比較

自分で進める場合は、講習費約3万円と申請手数料81,000円が中心になり、金額だけ見ればかなり抑えられます。許可を取るだけなら約11万円前後で収まりやすく、開業資金を残したい人には魅力があります。ただ、申請書類の作成や添付書類の集め方を自分で組み立てるため、平日に役所へ動ける時間が少ない人は負担が重くなりがちです。

行政書士に依頼すると、報酬相場は10万〜20万円程度です。ここに講習費約3万円と申請手数料81,000円が加わるので、総額は20万円台後半から30万円台を見込みやすくなります。費用は上がりますが、書類の不備でやり直す手間を減らせるのが大きな利点です。開業準備で仕入れや販促にも資金を回したい人ほど、申請作業を外注して時間を買う考え方が合います。

進め方講習費申請手数料行政書士報酬トータルの目安
自分で申請約3万円81,000円0円約11万円前後
行政書士に依頼約3万円81,000円10万〜20万円約20万〜30万円台

実際には、費用差だけで判断すると見落としが出ます。自分で進める場合は申請書の確認や補正対応に手間がかかり、依頼する場合はそのぶん着手が早く、事業開始までの段取りが読みやすくなるからです。私は、初めての許可申請で人手が足りないなら、報酬を払ってでも手戻りを減らす方が、結果として気持ちも資金繰りも安定しやすいと見ています。

都道府県ごとに申請する場合の追加コスト

都道府県ごとに申請する形では、基本の講習費約3万円と申請手数料81,000円に加えて、複数地域で動くぶんの実務コストが膨らみます。たとえば営業先が2つの県にまたがるなら、それぞれで申請準備を進める必要があり、書類作成の手間や移動費、日程調整の負担が増えます。見えにくい出費ですが、現場ではここが効いてきます。

自治体ごとの違いが出るのは、窓口対応の細かな運用や求められる確認内容です。同じ内容でも、受け付けの流れや補足資料の出し方が変わると、初回で通るかどうかに差が出ます。開業直後に複数エリアを同時に狙うなら、1回あたりの申請額よりも、差し戻しによる再訪や再提出の時間がどれだけ積み上がるかを見る方が現実的です。

複数県での許可を想定するなら、費用は「申請の回数」だけでなく「移動」「補正」「再提出」の積み重ねで増えます。金額表に出にくい部分ほど、事業の立ち上がりを左右します。

更新時にかかる費用と再講習の必要性

更新時も、基本の費用構造は申請時と近い形で考えると分かりやすいです。講習費約3万円、申請手数料81,000円、必要に応じて行政書士報酬10万〜20万円が発生するため、更新だけでもまとまった予算を確保しておく必要があります。更新を後回しにすると、営業継続の段取りが崩れやすいので、許可の期限管理は重要です。

再講習が必要になるかどうかは、更新の手続きを自分で進めるか、どこまで書類対応を任せるかで負担感が変わります。再度講習を受ける前提で動くと、日程調整も含めて2〜4か月の流れを再び意識することになります。更新は「終わったら安心」ではなく、次の期限までの運営計画とセットで考えるのが実務的です。更新費用をあらかじめ積み立てておくと、繁忙期に資金を圧迫しにくくなります。

マニフェストと運用上の義務|許可取得後の責務

マニフェストは、排出から運搬、最終処分までの流れを見える化して、責任の所在を途切れさせないための仕組みです。許可を取った後に本当に差が出るのは、この書類運用を毎回きちんと回せるかどうかで、ここが崩れると事業継続のリスクが一気に高まります。帳簿備付けや保管義務5年も含めて、現場の処理と事務処理を同じ温度で扱う意識が必要です。

マニフェスト制度の基本と運用フロー

運搬が終わったから仕事が終わるわけではありません。排出事業者がマニフェストを交付し、運搬業者が受け取り、処分までの各段階で返送や確認を重ねることで、廃棄物がどこで止まったのかを追えるようになります。とくにB2票は、運搬終了後10日以内に排出事業者へ返送する流れが要で、ここが遅れると「実際に運ばれたのか」「その先に回ったのか」が曖昧になるのです。現場で見る限り、この1枚の遅れが後日の問い合わせ対応を増やし、書類の不備が処分の信用まで傷つけます。

帳簿備付けも軽く扱えません。日々の委託や引き渡しを帳簿に残しておけば、後から数量や流れを確認でき、行政からの確認にも落ち着いて対応できます。書類だけ整っていても、帳簿と実際の運搬記録が噛み合っていなければ意味が薄いでしょう。私は、マニフェストは「処理の証明」、帳簿は「継続運用の証拠」と分けて考えるのが実務的だと見ています。前者だけでは点、後者だけでも線にならないからです。

5年間の保管義務も、単なる保存期間ではなく、あとから検証できる状態を維持するための期間です。5年あれば、契約内容の見直しや委託先変更、現場ごとの処理差も追いやすくなりますし、トラブルが出たときに「その時どう運用していたか」を辿れます。紙であれ電子であれ、探し出せない保管は保管ではありません。普段から案件ごとに整理しておくと、繁忙期でも探す手間が減り、責任分担の確認が早くなります。

マニフェストは「交付したら終わり」ではなく、返送・記録・保管までをひと続きで管理して初めて機能します。

電子マニフェストの活用と義務化対象

電子マニフェストは、返送遅れや記載漏れを減らしたい現場に向いています。紙のやり取りだと、移動中の紛失や返送の遅延が起きやすいですが、電子化すると入力と照合がその場で進み、担当者同士の確認も速くなります。とくに複数現場を回す事業者ほど、情報を一元化できる利点が大きいです。書類の束を追いかける時間が減るので、現場管理に人手を回しやすくなるのが実感として大きいところでしょう。

義務化の対象がある点は見落とせません。特定の条件では電子マニフェストの利用が求められるため、紙だけで回す前提のままだと運用が崩れます。制度上の要求が強い場面では、現場の慣れよりも仕組みを優先したほうが安全です。担当者が入れ替わっても同じ手順で回せるのが電子化の強みで、引継ぎのたびに説明をやり直す負担も小さくなります。帳簿備付けと組み合わせると、確認漏れを減らしやすいのも利点です。

私の見立てでは、電子マニフェストは「便利だから使う」段階を過ぎています。返送確認の手間、記録の探し直し、担当者ごとの書き方の差を減らせるので、実務では管理コストの削減に直結します。紙と電子を混在させると抜けが出やすいため、運用を一本化したほうがトラブルは少ないです。現場が忙しいほど、入力の手戻りが少ない仕組みが効いてきます。

違反時の措置命令・罰則・許可取消

義務違反が重く扱われるのは、書類不備が単なる事務ミスで終わらず、廃棄物の行方そのものを不透明にするからです。マニフェスト義務違反には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められており、現場の判断ミスがそのまま経営リスクになります。特に返送の遅れや未交付が続くと、行政から措置命令を受けるだけでなく、許可の維持にも影響しかねません。書類を軽く見た会社ほど、後から重い代償を払う構図です。

許可取消まで進むと、目の前の案件だけでなく、取引先との信頼も失います。廃棄物処理は「次も任せられるか」で回る仕事なので、1回の違反で失うものが大きいのです。実務では、現場担当者の書き忘れが積み重なって行政対応に発展する例もあります。だからこそ、交付・返送・保管・帳簿の4点を分けずに管理する発想が必要になります。どこか1つでも抜けると、全体の証明力が落ちるためです。

違反時の怖さは罰則の数字だけではありません。措置命令が出れば対応に追われ、社内では確認作業が増え、許可取消になれば事業そのものが止まります。現場の処理能力があっても、運用上の義務を崩すと積み上げた信用が一気に揺らぐのです。私は、許可取得後の本当の勝負は「運べるか」ではなく「記録を残し切れるか」だと考えています。ここを徹底できるかで、継続できる事業かどうかが分かれます。

業者選びと依頼者側の確認ポイント

業者選びでいちばん頼りになるのは、見積書の安さよりも「許可番号を出せるか」です。産業廃棄物の収集運搬が必要な仕事では、許可番号が確認できるかどうかで、その業者が最低限の入口に立っているかが見えてきます。 都道府県をまたぐ依頼なら、片方だけの許可では足りない場面があります。無許可業者の見分け方と不法投棄のリスクまで押さえておけば、あとで依頼者側が巻き込まれるトラブルを減らせるでしょう。

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著者情報

有限会社TMS
神奈川県を中心に不用品回収、残置物撤去、ゴミ屋敷片付けを行なっています。
業界実績5年以上。
これまで数百件の依頼に対応してきたお片付けの専門家です。

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